デジタルとは
「デジタル」と聞いてどんなことをイメージしますか? おそらく、それは人によって違うと思います。例えば、
・数値を数字で表すこと
・紙の情報をコンピューターに入力すること(デジタル化)
・時計や電卓などの7セグメントディスプレイ表示(時計や電卓などでよく見る、棒8本でアラビア数字を表す方式)
“デジタル” について解説するサイトは多くありますが、総じて『連続した値を段階的に表示すること』と説明されています。これに対して、段階的でない値(連続した値)を “アナログ” といいます。この2つの違いをひと言で言うと、《アナログ》:連続した値、《デジタル》:飛び飛びの値 です。
時計を思い浮かべてください。文字盤の上を回る針の先端で時刻を示す時計がアナログ時計、数字で時刻を示す時計がデジタル時計です。アナログ時計の針は常に動いているので “連続した値” です。(ただし、秒針がカチカチと動く時計は別です。アナログ時計でありながら、秒針だけはデジタル的と言えます。) 一方、デジタル時計は一定時間同じ時間を示しているので “飛び飛びの値” です。
コンピューターは、今まさにその時点の値(時間で言えばタイムスタンプ)を扱うことしかできません。つまり、連続した値(すなわちアナログ)を扱うことができません。逆に言うと、デジタルに出来ればコンピューターを使って凄いことができます。だから、デジタル化の推進(書類の電子化)が叫ばれているのです。 ※ 紙の書類もアナログデータの一種
デジタルの値(飛び飛びの値)には2種類あります。
1.初めから飛び飛びの値 … 個数、回数など
2.[連続した値] を [飛び飛びの値] に変えたもの … 連続した値を一定間隔で区切って代表値で表したもの。これにより、長さ、温度、時間など本来アナログだったデータをデジタルにして利用することができます。
『エンジニアを目指す人のための品質コラム』(第五五回 デジタル化)において、「デジタル化とは、連続した値を定められた範囲で切り取って、代表値に丸めること」と説明していましたが、”代表値に丸める” という表現が “平均値” を連想させるので、今回改めて説明しました。実際には、範囲内の平均ではなく、一定間隔毎の値のイメージです。
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デジタルの錯覚
デジタルは飛び飛びの値ですが、デジタル表示を見てアナログ数値と錯覚することがあります。その代表として、タイムカードと家電製品を挙げます。
例えば、就業開始(会社でも学校でも)が9:00だとします。始業ベルが鳴っている最中に飛び込んできて「間に合った」とか、タイムカードを見て「9時ジャスト、セーフ」と喜んでいる人はいませんか? 残念ですがそれは遅刻です。タイムカードの「9:00」というのは、「9:00以上、9:01未満」であることを示しています。始業時間である9:00を過ぎているので遅刻です。
これは、あくまでもデータの見方を示したもので、実際の勤労管理としてはそこまで厳密に管理していないかも知れません。しかし、コンピューター社会の現代、タイムカードがタイムスタンプに替わり、出勤がプログラムで管理されるようになると、「9:00..」は明確に遅刻扱いになるでしょう。
家電などのデジタル表示も注意が必要です。残り時間がデジタル表示されている場合、実際の残り時間は表示されている時間よりも短いのが普通です。[残り時間1分] の表示を見て「終了までまだ1分ある」と思っていると、次の瞬間終了になることもあり得ます。
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デジタルだけでなく、データには錯覚することがよくあります。
下に書籍『エンジニアを目指す人のための品質コラム』の抜粋も載せておきますので見てみてください。
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