仏教に興味を持ったきっかけ

 私が仏教に興味を持ったのは、学生の頃に読んだ小説とマンガの影響です。
 ・弥勒戦争 … 小説
 ・百億の昼と千億の夜 … マンガ
 今回は、この2冊について語りたいと思います。


弥勒戦争(山田正紀 作)

 中学生の頃、友だちに薦められて読みました。もう50年以上前のことです。読んでドハマリしました。おそらく、30回以上は読み返していると思います。表紙がボロボロになった本が今も自宅の本棚にあります。

 仏教を題材にした超能力モノのSFです。SFと聞くと派手でカッコイイように感じるかも知れませんが、この本は暗くてせつない話です。それでいて、知らなかった世界が広がってワクワクする本です。「黙って滅びていけ」という滅びの掟に縛られた一族の末裔が主人公です。どういう設定なのか気になりませんか? 気になる方は是非読んでみてください。
 (もう少し知りたい方は、こちらのサイトがお勧めです)

 何度も読んでいると、いろいろな場面が映画のシーンのように頭に浮かんできます。「映画化しないかぁ」と真剣に思っています。私の頭の中には、プロローグとエンドロールの映像が出来上がっています。

 この本では、我々が知っている仏教の世界を根底から覆す謎の経典が出てきます。そして、 “弥勒” が倒さなければならない存在として描かれています。弥勒とは弥勒菩薩のことです。お釈迦様が死んでから56憶7600万年後に現れて世界を救うとされている、とてもありがい仏様です。それがなぜ “倒さなければならない存在” なのか、というのがこの本の謎解きです。

 当時の私は仏教について全くの無知でしたが、この本をきっかけに「弥勒菩薩」に興味が湧き、修学旅行の自由時間に京都・広隆寺へ見に行きました。また、社会人になってから休暇を取って奈良・中宮寺にも見に行きました。どちらも、少し笑みを浮かべているような穏やかなお顔でした。以来、仏像が好きになりました。そのうちに、他の仏像やブッダの本当の教えにも興味を持つようになりました。

広隆寺はこちら(Wikipedia)
中宮寺はこちら(公式ホームページ)

 山田正紀の本では、1970年代の作品が好きでした。仏と戦う「弥勒戦争」の他、神と戦う「神狩り」「神々の埋葬」、巨大コンピューターと戦う「襲撃のメロディ」、時間がテーマの「チョウたちの時間」など、超越した存在に抗うストーリーが、当時反抗期だった自分に響いたのでしょう。

 読んでみたい方のためにネット購入先を載せておきます。ただし、ハルキ文庫のカバーデザインは内容とイメージがまったく違います。こんな少女は出てきません。弥勒戦争のカバーで一番しっくりくるのはハヤカワ文庫の本ですが、もう中古でしか手に入りません。


百億の昼と千億の夜(光瀬龍 原作、萩尾望都 作画)

 高校生の頃、週刊少年チャンピオンに連載されていて夢中になって読みました。原作の小説はすでに読んでいましたが、マンガの方が壮大でイメージが湧きやすく好きでした。やはり何度も読み返しました。

 プラトン、阿修羅、ブッダの3人が主人公で、彼らが何かに導かれるかのように、世界を滅ぼそうとしている謎の存在 “シ” と戦うというSFです。仏教がベースですが、ギリシャ神話やキリスト教も盛り込まれています。例えば、イエスが “シ” の手先のように書かれており、とても奇想天外な話です。その奇抜なストーリーと萩尾望都の作画がマッチして、スケール感やスピード感が伝わってきます。

 ストーリーは奇想天外ですが、その根底には「神とは? 進化とは? 宇宙の果てとは?」という壮大なテーマがあります。『この世界の外にさらに大きな世界があり、さらにその世界の外に世界が.. そしてまたその外にもさらに.. 永遠に世界がつづく』。外の世界から見れば、この世界の出来事など取るに足らない些細なこと。これは、その後の私の世界観・宇宙観に影響を与えています。ラストシーンの阿修羅のつぶやき「わたしの戦いはいつ終わるのだ..」は衝撃的でした。

 搭乗人物の一人である阿修羅とは、仏教の世界では3つの顔と6本の腕を持った軍神で、もともとは仏の世界に歯向かっていましたが後に仏を守る守護神になります。マンガの中では顔立ちの整ったイケメン(見ようによっては気の強い少女)のように描かれています。また、奈良・興福寺の阿修羅像は、少年のような優しい顔立ちと細い体で、とても戦いの神様には見えません。軍神と言えば怖い形相をしているイメージですが、なぜそんな風に描かれたり作られたりしたのか不思議です。でも妙に合っている気がします。

 私は、興福寺の阿修羅像が大好きで、奈良に行った際は必ず見に(会いに)行きます。その他の仏像では、東大寺・戒壇院の四天王(特に、広目天の目を凝らす表情)と、新薬師寺の十二神将が好きです。初めて新薬師寺を訪れた時、薬師如来像を取り囲む12体の神将像を目にして鳥肌が立ちました。また、京都・三十三間堂の1,001体の千手観音立像は圧巻です。京都を訪れた時は必ず行きます。ちなみに、三十三間堂にも阿修羅像がありますが、こちらは恐ろしい形相で強そうな体をしています。

興福寺はこちら(公式ホームページ)
東大寺・戒壇院はこちら(公式ホームページ)
新薬師寺はこちら(Wikipedia)
三十三間堂はこちら(公式ホームページ)

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