修正、再発防止、点検、予防、未然防止

今回は、過去記事『事故対応・トラブル対応のセオリー』の、【セオリー1〈応急処置、根本処置、再発防止〉】と、【セオリー5〈点検〉】について深堀りします。

事故・システム障害・不良品など何か問題が起きた時、行わなければならないことが幾つかあります。単に「直せばいい」というものではないのです。また、問題が起きてからだけでなく、起きる前に行うこと(すなわち “起こさないこと” )も重要なことです。それらをしっかりと認識しておいてください。

問題には必ず原因があります。ある原因が “不都合な現象” として顕在化しものが、障害や不良品などの問題です。また、不都合な現象が業務や環境に様々な悪影響(実害)を及ぼします。このように、起きてしまったこと起こしてはいけないことを考える時には、「原因・現象・影響」の3つを考えることをお勧めします。

問題が起きた時や問題を起こさないために行うことを、「原因」「不都合な現象」「悪影響」の視点でまとめたものが下の図です。

(1) 問題が起きた時は、これ以上悪影響が広がるのを防ぐ必要があります。これが応急処置です。例えば、システム障害が起きた時に、業務全体がストップすることを防ぐために一部の機能を敢えて停止させることがあります。これも応急処置です。

(2) 障害や不良品などが発覚した時は、早急に問題箇所を修正して業務を正常化させる必要があります。この時、悪影響のために環境が壊れていると業務を再開できないので、環境の復旧が必要になります。例えば、システム障害時のデータ復元などです。

(3) 問題箇所を修正しても同じ問題(不都合な現象)が再び起きる恐れがあります。そこで、問題を引き起こした原因を突き止めて、それを除去します。それが再発防止(是正処置)です。原因調査を行わなければ再発防止はありえません。

(4) 不都合な現象を修正したりその原因を除去しても、他にも似たような現象や原因があるかも知れません。気が付いていない現象や顕在化していない原因があるかも知れないのです。そこで、点検して他にもないか確認します。
 ※ 他のケースにも適用すること(ここでは、似たものがないか確認すること)を “横展開” と言います。

点検には2つあります。
類似の現象 が起きていないか確認する。あれば修正します。
類似の原因 によって問題が起きる恐れがないか確認する。あればこの原因も除去します。これが予防です。

(5) 問題の直接原因や類似原因は分かっていることなので除去することが出来ますが、想定外の原因(未知の原因)によって思いもしなかった問題が起きることもあります。それらは時として深刻な影響をもたらします。そこで、想定外の原因による重大問題も防ぐ必要があります。それが未然防止です。
以下、未然防止を考える上で重要な視点を3つ挙げます。

絶対に起きてはいけないこと を考えて、それを起こしうる条件(どうなったら起きるか)を考える。 ※ 起こりそうなことから考えると、それ以外は「起きるはずがない」と思い込んでしまう。

“絶対に起きてはいけないこと” の前兆を捉える仕組みを設ける。
 例えば、爆発の前兆をとらえるために内部圧をモニタリングする.. など。

異常事態が起きても “絶対に起きてはいけないこと” を起こさない仕組み(深刻な状況を回避する仕組み)を設ける。これを「フェイルセーフ」と言う。
 例えば、異常な圧力上昇に備えて圧力解放弁を設ける.. など。

以上、何か問題が起きた時に行うことや、問題が起きる前に行うことを整理しました。
実は、ここに書かれていることがすべてではありません。状況によって様々なことが複雑に絡んでいることがあります。例えば、復旧が必要な悪影響は、発覚した現象だけでなく類似の他の現象によっても生じていることがあ
それらの様々な状況を整理する際に、今回の記事(特に上記の図)を参考にしてください。

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