物事はすべて《原因》と《結果》で出来ています。たくさんの「原因 → 結果」が複雑に絡み合って様々な現象が起きているのです。
事故や不良が発生した際、二度と起こさないためには原因を取り除くことが必要ですが、たくさんの「原因 → 結果」を遡って根本的な原因(真因)を明らかにするために「なぜ? なぜ?」を繰り返すのがセオリーです。(記事『事故対応・トラブル対応のセオリー』参照)
ところが、結果から原因を遡っていると、ときどき元の結果に戻ることがあります。原因と結果が循環していることがあるのです。ある原因が引き起こした結果が、回りまわって元の原因の真因になっていることがあるのです。
多くの循環は、繰り返しているうちに徐々に収束したり、同じような様相を周期的に繰り返すようになります。つまり、落ち着いて安定します。(前回記事『安定と変化』参照)
しかし、中には事態が安定せずに拡大し続ける循環があります。この “拡大しつづける循環” を『好循環』や『悪循環』と言います。
好循環:良い方向に拡大し続ける循環
悪循環:悪い方向に拡大し続ける循環
好循環と悪循環は正反対の循環です。
好循環・悪循環の例として、経済の循環を示します。
好循環: … 消費が好調 → 企業の業績が拡大 → 従業員の賃金が増加 → 消費が拡大 …
悪循環: … 消費が低迷 → 企業の業績が低下 → 従業員の賃金が減少 → 消費が低下 …

ここでの循環は3ノード(接点)3リンク(経路)です。もっと細かい分け方もあると思いますが、できるだけ単純にするために3ノード3リンクで表現しました。
ここで注目すべきは、各リンクにおける「原因 → 結果」が、それぞれまったく別物(別次元)であることです。すなわち、生活環境における「原因 → 結果」、経営環境における「原因 → 結果」、労働環境における「原因 → 結果」、というまったく別の因果関係が絡み合って好循環・悪循環を成しているのです。
もちろん、経済に関わる因子はこれだけではありません。私は経済の専門家ではありませんが、よくニュースで聞くキーワードを幾つか挙げてみます。

天候不順や紛争などによる材料費の値上がり、関税や円安による仕入費の増加、酒税や消費税の影響、AIなどの技術革新、人手不足(賃金アップ)などなど、主に “価格” が経済循環の “消費” に与えるインパクトが大きいと言えます。つまり、物価高が経済の悪循環のトリガー(引き金)になっていると考えています。
物価高の要因は、生活環境、経営環境、労働環境とは別の世界のことです。つまり、経済の悪循環は別の世界の要因によって引き起こされるということです。逆に言えば、悪循環から抜け出す(好循環に変える)には、経済の循環とは別の世界からのアプローチが必要だと考えています。
消費が低迷していても業績を維持・拡大する策とは?
業績が低下していても賃金を維持・拡大する策とは?
賃金が低下していても消費を維持・拡大する策とは?
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ところで、最初の図で、”賃金” と “業績” を循環するルートは “消費” だけではありません。それが次の図です。

好循環: … 労働意欲旺盛 → 業績が拡大 → 賃金が増加 → 労働意欲旺盛 …
悪循環: … 労働意欲低迷 → 業績が低下 → 賃金が減少 → 労働意欲低下 …
つまり、従業員の “やる気” による循環のルートです。
市場や消費が低迷していても従業員の意欲(知恵と工夫)によって業績をアップできるかも知れません。賃金が低くても、やる気を起こさせることで業績をアップ出来るかも知れません。何もしなければ、社員の意欲は下がり、業績も下がります。悪循環です。
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経済に好循環・悪循環があるように、品質にも好循環・悪循環があります。それが下の図です。

今度は、4ノード4リンクで表しています。
好循環: … 高品質 → 顧客の信頼大 → 売上・利益増 → 投資拡大 → 品質向上 …
悪循環: … 低品質 → 顧客の信頼小 → 売上・利益減 → 投資縮小 → 品質低下 …
この悪循環は実際によくあります。業績が悪化した時によく “業務再編” が行われます。そして、「業務の効率化」という名目で真っ先に縮小されるのがスタッフ部門です。品質部門もその一つです。
その結果、不良や事故を起こして顧客の信頼を失い、売上が激減し、投資が出来ず、さらに品質が悪化する.. とても不幸な悪循環ですね。
では、品質の悪循環に陥った時どうすれば良いのでしょうか?
①品質が悪くても顧客の信頼を維持する策
②信頼を失っても売上・利益を維持する策
③売上・利益が落ちても投資を維持する策
④投資を縮小しても品質を維持する策
どれも難しそうですね。特に①②はほぼ不可能だと思います。
③は経営者の判断、④は品質部門のやる気と頑張りですが、一度《品質の悪循環》に陥ってしまうと、好循環に変えるのはとても大変です。日頃から悪循環にしないことを心掛けておくことが大切です。
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