PDCAとSDCA … 2つのサイクルを共に回す

先日、一般財団法人 日本要員認証協会(JRCA)の講演会を聴講したので、その話題を取り上げます。講演テーマは次です。

PDCAとSDCAの両輪で回す!
 ~自律的に回る強い組織をつくるための実践ポイント~
   講演者 株式会社クオリティ・クリエイション 代表取締役 古谷健夫

講演の内容は盛りだくさんでしたが、大きく分けると「マネジメントの本質」「問題解決の重要性」「考えることの必要性」の3つでした。今回の記事では、その中で
・品質とは? 品質管理とは?
・SDCAとは?
の2つについて、私の理解を私の言葉・表現で解説します。
「品質とは? 品質管理とは?」は、本ブログや拙著において繰り返し述べてきたことの再確認になりました。
「SDCAとは?」は、本ブログにおいてこれまでPDCAを強く推してきましたが、これに匹敵する重要な概念として大きな気づきがありました。

品質とは、
《お客さまに提供した価値に対する、お客さまからの評価》

「機能・性能がいい、故障がない」だけではありません。例えば、
「接客対応がいい、細かい気遣いがある」
「いい提案をしてくれる、サポートも万全だ」
「安全だ、環境にやさしい」
「便利だ、役に立つ、省力化できた」
「信頼できる、安心できる」
「安い、コスパがいい」
などいろいろあります。

品質管理とは、
《よい仕事をワクワクと効果的に効率的にできるようにするために、全員で取り組む方法を推進すること》

これによって、お客様の満足や社会の満足を獲得して、事業を成功&継続・拡大させて、みんなが豊かに幸せになります。
すなわち、
 「品質管理は経営(マネジメント)そのもの
 「品質意識は、人と社会を思いやる心

です。
品質管理は、製造業だけではありません … いろいろな組織で役に立ちます。
品質管理は、製造現場だけでがありません … いろいろな職種で役に立ちます
品質管理は、事故やトラブルを防ぐだけではありません … いろいろな問題に役に立ちます

経営(マネジメント)とは、
《人や社会のニーズ(要求や期待)に応える価値を創造して、そのアウトプット(製品・サービス・情報など)の質を保証して、人や社会に満足を与える。
同時に、 人間性を尊重して、働く人に満足を与える》

つまり、お客様や従業員や社会に満足を与えることが経営(マネジメント)のあるべき姿です。
これは近江商人の《三方よし》に通じます。(記事『品質と近江商人』参照
また、これは【品質マネジメントの原則】として ISO9001:2015 にも書かれています。

「第一三回 品質マネジメントの原則 その1」補足ページ

エンジニアを目指す人のための品質コラム」抜粋
第一三回 品質マネジメントの原則 その1
ISO9001が作られた目的は、〝お客様の要求を満たす〟ことです。これが【顧客重視】です。しかし、お客様のことを考えるだけでは企業はf存続できません。社員が意欲的に働くことも必要です。これが【人々の積極的参加】です。また、下請業者との共存共栄も目指さなくてはなりません。これが【関係性管理】です。そして、これらがバランス良く進むように、方向を示して環境を整えるのが【リーダーシップ】です。お客様、会社、社員、下請業者、すべてが幸せになることをISO9001は意図しているのです。

SDCAとは? PDCAとSDCAの違い
 PDCA(Plan, Do, Check, Act): 改善・革新を推進するサイクル
  《価値を創造する》のプロセス。すなわち、施策管理や方針管理のことです。
 SDCA(Standarize, Do, Check, Act): 維持・向上のサイクル
  《質を保証する》のプロセス。すなわち、日常管理のことです。

これまでの記事(特に「PDCAの誤解1(もう古い?)」)において、PDCAの本質は
無計画に実行するな! 実行したら確認しろ! 結果を次に生かせ! そして目的を果たせ!
であり、PDCAに変わる新たなサイクルとされている多くの改善サイクルも、すべてその本質は同じであると説いてきました。

しかし、改善サイクルに力を注いで一時的にパフォーマンスが良くなっても、「良かった良かった」とタダ喜んでいるだけでその後何もしなかったら、時間が経つにつれてパフォーマンスは元に戻ってしまいます

そこで重要なのが “SDCA” です。PDCAによってよりパフォーマンスの良いプロセスが出来たら、それを標準化して維持・向上サイクルに組み込み、日常管理(確認・監視・是正)にすることが重要です。PDCAを回して改善するだけでなく、SDCAを回してそれを維持することが重要なのです。それによって、強い組織が作られます。

『SDCA(標準化)なくしてPDCA(改善なし』です。

実はこのことは、拙著『エンジニアを目指す人のための品質コラム』でも書いていました。

「第五一回 QCストーリー」補足ページ

エンジニアを目指す人のための品質コラム」抜粋
第五一回 QCストーリー
QCストーリーの手順(中略)
 ①テーマ選定
 ②ギャップの明確化
 ③計画作成 … 達成目標の設定を含む
 ④原因の特定(問題解決型)、対策の検討(課題解決型)
 ⑤対応策の決定(問題解決型)、最善策の選択(課題解決型)
 ⑥行動目標の設定と実施
 ⑦効果の確認
 ⑧定着、ルール化
これは改善サイクルですね。すなわち、①②がTarget、③④⑤がPlan、⑥がDo、⑦がCheckとActで、⑧は改善内容をルールにすることです。

この「⑧定着、ルール化」が、SDCAのS(標準化)です。

PDCAとSDCAは、強い組織を作るための両輪です。2つのサイクルを連続して回すことが重要です。この2つのサイクルは次のような関係になっています。

基本は、日常管理であるSDCAです。作業のやり方が決まっていて(標準化)、守られていて(遵守)、常にチェックして(異常を気づき)、問題があれば正す(是正)ことが必須です。
その上で、さらに高みを目指したり、慢性的な問題を解決する必要がある際に、改善サイクル(PDCA)を回すのです。そして、効果的なプロセスが出来たら、それを標準化してSDCAに組み込みます。

実は、この「さらに高みを目指す」と「問題を解決する」の道筋が先ほどの “QCストーリー” です。QCストーリーには2種類あって、前者が [課題解決型] 、後者が [問題解決型] と呼ばれています。これについては、後日お話します。

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