すべては波で動いている

この世のすべては波打って動いています。例えば、
・左に寄ったからハンドルを右へ → 右に寄り過ぎたから左へ → 左に寄り過ぎたから右へ…
・エンジンは、吸気・圧縮・燃焼・廃棄のサイクル
・寒さと暑さの繰り返し … 春夏秋冬(冬来たりなば春遠からじ)
・暖冬の年があれば大雪の年も。猛暑の年があれば冷夏の年も。大雨があれば水不足になる事も。
・経済は、好景気と不景気の繰り返し
・経営戦略は、経営統合(集中)と分社化(分散)の繰り返し
・生物の進化は、新たな種が誕生して爆発的に拡大し、競争が激しくなると多様化して特化し、特化し過ぎたために環境の変化に適応できなくなって滅び、また新たな種が「誕生 → 拡大 → 特化 → 滅び」を繰り返す。

大きくなったり小さくなったり、発散したり収縮したり、ピンチになったりチャンスがきたり..
人生、山あり谷ありです。
やまない雨はない。明けない夜はない。
「♪人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る~」 … 『あゝ人生に涙あり』より

すべては波で動いていますが、波は永遠に続くとは限りません。防波堤を超えたとき(不可逆領域に到達したとき)、甚大な被害をもたらして突然止まります。
人生の波における不可逆領域の例を3つ挙げます。

1.ギャンブル
ギャンブルは、儲かることもあれば損をすることもあります。「ついている」と「ついていない」の波です。負けが続いて手持ちの資金がなくなると(不可逆領域に達すると)それ以上続けられません。
この時の不可逆領域は資金の下限だけです。上限はありません。たとえどんなに儲かっていても、そこでやめない限りやがて「ツキ」は下がります。しかし、これからツキが回ってきそうでも、資金がなければギャンブルは続けられません。ギャンブルは、自分の意志でやめるか、破産して出来なくなるまで続く波です。

2.会社経営
会社には好調な時と不調な時があります。好・不調の波があるのです。そして、不調が不可逆領域に達すると(例えば不渡りを2回出すと)倒産です。倒産するとその会社は終わりです。もう一度「好・不調の波」に乗ることはできません。好調な時に油断していると、不調の波が押し寄せて倒産することもあります。儲かっていた会社が、あれよあれよという間に倒産するということがあるのです。

3.うつ病(実話です。「体験談:ちょっと珍しい病気」参照
精神科に通い始めて少し経った頃のことです。医師から「調子はどうですか」聞かれて、「絶好調です」と答えたら、「それは心配ですね」と言われ、気持ちを安定させる薬を追加されました。心の病の場合、うつ状態も心配ですが状態のブレも大きな問題です。躁(そう)状態が大きいということは、鬱(うつ)状態が大きくなる可能性もあることを意味しており、不可逆領域に達する危険があるからです。ですので、心の病の場合、楽しい気持ちにさせることよりも気持ちを安定させることが大切なのです。

品質の世界でも、「すべては波打っている」と認識しておくことが大切です。特に、良い状態の時に油断しないように心掛けましょう。「良かった、良かった」とただ喜んでいるだけでなく、その次に来るであろう “悪いこと” に備えましょう。

『波』と聞くと、津波のように “高く押し寄せてくるもの” というイメージがありますが、波は高いだけではありません。低い状態も含めて高低を繰り返すのが “波” です。
波をとらえる時は、最高点の大きさや平均値よりも、”バラツキの大きさ(振幅)” と “不可逆領域” を気にしましょう。

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