それ、どうやって捨てるか知ってますか?

この頃、モバイルバッテリーの発火事故と、熊による殺傷被害が頻発しています。
今回は、これらのニュースを見ていていつも気になっていることをお話します。
事件の原因や背景などに関することではありません。過去記事『断・捨・離』に関連する話題です。

モバイルバッテリーの発火事故は、リチウムイオン電池の損傷や使用環境の問題が原因であり、多くの報道番組がその取り扱いについて注意を促しています。

リチウムイオン電池は、大容量の充電装置としてモバイルバッテリー以外にも様々な充電用途に使われています。今年の夏は特別暑くて充電式扇風機が流行りましたが、扇風機が火を噴いたというニュースがありました。電動自転車の事故もありましたね。

一方で、充電池が原因だと思われる清掃センターの火災も多発しています。一般のゴミの中に混じっていた電池が発火するのです。良識がある人なら可燃ごみの中に電池を入れたりしないと思いますが、不要になった充電式家電を不燃ごみとして捨てている人は多いのではないでしょうか?

例えば、扇風機、掃除機、芝刈り機、シェーバーなどなど、“コードレス” と謳っているものはすべて充電池が使われています。それらが壊れた時、安易に捨てていませんか?
モバイルバッテリーや電動自転車が壊れたから、古くなったから、と安易に捨てていませんか?

買い替え時に “使い捨て感覚” で何気なく捨てると、とても危険です

広告やCMは、消費者に向けて「コードレスで便利!」と簡単に勧めますが、捨て方までは伝えません。
捨てるのは買った人の責任です。買った人は、捨てるとき決められた方法で捨てる必要があります。
さらに言えば、買う人は捨てる時のこともきちんと考えたうえで買いましょう。便利だからと安易に買って、面倒だからと安易に捨てることは絶対にやめてください

充電池の回収をメーカーに義務付けている法律もありますが、捨てる側への周知や規制は十分とは言えません。”コードレスxx” を購入する前には、どのように扱うかを理解するのは勿論のこと、どうやって捨てなければならないかも、よく理解してから買いましょう

今年は、例年になく熊による被害が多いですね。登山・ハイキングやキノコ狩りなど野外活動以外にも、最近は住宅地にも出没するようになりました。住宅地でも一定の条件下で猟銃を使用できるようになったのは驚きです。

熊被害の報道でよく「熊撃退スプレー」が話題になります。登山などで山に入る時に熊撃退スプレーを持参することを勧めています。そのような報道を見る度に思います。

「使い切れずに残った熊撃退スプレーはどうやって捨てるのだろう?」

熊撃退スプレーは非常に強力です。催涙スプレーよりもはるかに強烈で、誤って人が受けると呼吸困難や水ぶくれなど深刻な健康被害を受けます。そのような危険なものを長期間放置して劣化したら.. 恐ろしくなります。

スプレー缶は、やがて劣化して薬剤が漏れ出します。最悪破裂します。
実は私は、スプレー缶ではありませんが、消火器が自宅で暴発したことがあります。20年くらい放置していたのですが、ある時、誤って上部に固いものを落としたとき、突然粉状の消火剤が吹き出して部屋中真っ白になりました。消火器の粉は無害なので健康被害はなかったのですが、掃除が大変でした。もしあれが熊撃退スプレーだったらと思うとゾッとします。

普通のスプレー缶は、使い切れば問題なく捨てられます(捨て方は自治体による)。でも、使い残しを捨てるのはかなり大変です。カラ噴射し続けて、使い切った状態にしなければなりません。数年前に、放置していたスプレー缶をまとめて処分したことがありますが、ものすごく大変でした。あれ以来スプレー缶は極力買わないようにしています。(ちなみに、捨て方は他の方のサイトを参考にしました)

その時は、殺虫スプレーや防水スプレーなど普通に処理できるものばかりでしたが、熊撃退スプレーのような人体に害を及ぼすものは自分で処理するのはとても危険だと思います。
おそらく、取扱い説明書に捨て方も書いてあるのでしょうが、まさか「使い切ってから捨ててください」ということはないと思います。使い切るまでに何頭もの熊を撃退しなければならないので..
実際に見たことがないので、本当のことは分かりませんが。

以上、最近のニュースから「捨てるのが難しいモノ」について述べました。

実は、ISO9001(JISQ9001)には、“廃棄” という記述が2ヶ所あります。
一つは、「文書管理」です。文書管理では、文書の保管と廃棄のやり方を定めなければなりません。この場合の廃棄管理の目的は、環境対策や資源回収というよりもセキュリティ(情報漏洩)対策です。
もう一つは、「引渡し後の活動」です。QMSでは引渡しの活動についてもやり方を定めなければならず、引渡し後の活動として、メンテナンスのような契約義務や、リサイクルや最終廃棄などの付帯サービスも含まれます。こちらは、環境対策や資源回収も目的ですね。

ISO9001はメーカー側の取り組みを規定するものです。
メーカーにお勤めの方は、その製品の捨て方がきちんと利用者に伝わるような説明書の作成や広報をお願いします。
また、利用する側も、日頃から “捨てること” をきちんと考えて行動しましょう。買う前に、捨てる時の苦労も考えたうえで決断することをお勧めします。

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