勉強の真の目的、学校の勉強の意味

勉強の真の目的

「勉強」にはいろいろなものがあります。例えば、
 学校の勉強、塾の勉強、テスト勉強、受験勉強、社会勉強、仕事の勉強、プログラミングの勉強、法律の勉強、品質の勉強、イラストの勉強、料理の勉強、ソムリエの勉強、英語の勉強、デッサンの勉強、俳句の勉強、防災の勉強、介護の勉強、財テクの勉強、子育ての勉強、ゲーム攻略の勉強、ファッションの勉強、美容の勉強、コミュニケーションの勉強、起業の勉強・・・
 勉強は学生だけのものではありません。社会人も仕事の勉強を続けなければなりません。それ以外にも、自分が好きなことを学ぶこともすべて勉強です。そして、どんなに歳を重ねても勉強は続けられます。
 勉強は、学校や塾や勉強机でやるものだけではありません。テレビ、ネット、雑誌、会話、遊びなどなど、あらゆるところが勉強の場です。

 勉強する目的も人それぞれです。
 親や先生に褒められたい・怒られたくない、テストで良い点を取りたい、希望の学校に進みたい、好きな仕事に就きたい、資格を取りたい、海外で働きたい、起業したい、友達を作りたい、認められたい、うまくなりたい、もっと知りたい・・・

 そして、それらの目的の先にある最終的な目的、すなわち「勉強する真の目的」が
『人生を豊かにする』
ことです。
・褒められればうれしく(心が豊かに)なります。逆に、勉強しないで怒られれば気持ちが荒みます。
・成績が上がり、良い学校を卒業して、良い会社に就職すれば、給料が上がり金銭的に豊かになる可能性が高まります。また、社会的ステータスや安定した生活は心を豊かにします。
・うまくできた時の達成感や、新しいことを知った時の驚きは、心をワクワクさせます。

「勉強なんて大嫌い!」という人がいます。でもそれは、正確には「学校の勉強は嫌い」ということですね。実は、誰もがいつも学校以外の勉強をしています。例えば、ゲームなら「もっとうまくなりたい。高得点を出したい。今度こそ勝ちたい」と思って、テクニックを磨いたりやり方を工夫しますね。それも勉強です。「ゲームが上手くなるための勉強」なのです。つまり「勉強したくない」という悩みは、本当は「学校の勉強をしたくない」言い換えれば「本当にやりたい勉強ができない」という悩みなのです。
「勉強したくない」と悩んでいる人は少し考えてみてください。「本当にやりたいのは何の勉強ですか?」「それは、あなたの人生を豊かにするものですか?」「そのために何を犠牲にしますか?」
 その先は想像力と覚悟の問題です。目の前のことしか見えない人もいれば、明日のことは想像できる人、1週間後までなら想像できる人、1年後を想像できる人、10年後を想像できる人などなど様々な人がいます。想像力の大きさは個性なので他人がとやかく言うことは出来ませんが、自分でちょっと想像してみてください。今これをやれば(やらなければ)明日どうなっているか? 来週どうなっているか? 1か月後にどうなっているか? 1年後にどうなっているか? そして、そうなる覚悟をもってその勉強をやってください(またはやらない)。

学校の勉強

「学校の勉強にどんな意味があるの?」と疑問を持っている人(特に子供)は多いと思います。それを考える前に、学校教育の体系とその目的について触れておきます。
 学校教育の目的は、次の3つを身につけることです。
①生きていく力 … 食べる、寝る、遊ぶ
②社会で暮らす力 … コミュニケーション、読み書き、計算
③専門的な力 … 研究者への道、手に職をつける
そして、学校が上がるにつれてその比率が変わっていきます。幼稚園では①、義務教育では②が中心、高校のころから少しずつ③を学ぶようになります。③の専門的な力はいろいろなのものがあるので、学校では極めて浅く広く学びます。したがって、学校で学んだことが直ぐに生かせる訳ではありません。また、すべてが将来役に立つとは限りません。学生が将来どんな道に進んでもよいように、出来るだけ多くの分野に触れて、その道に進むきっかけを与えているのです。

 企業が新たに従業員を採用するときの考え方には大きく2つに分かれます。
①すぐに仕事が出来る人を採用する
②採用して、仕事ができるように育てる
 外資系企業では「スキルアップは自己責任」という考えが強いので①、日本企業は「スキルアップは会社責任」という考えが強いので②が多い傾向にあります。また、中途採用は①、新卒採用は② が多いでしょう。
 会社が社員を育てるには多大な労力と費用がかかります。それでも採用して育てるのは次の理由があると思っています。
理由1:企業文化の徹底。俗な言い方をすれば「会社の色に染めたい」ということ。余計な経験があるために妙なこだわりで場を乱す人よりも、会社のことを理解して協力し合える人が必要。
理由2:急激に変化する社会に対応するために、過去にとらわれない柔軟な思考(柔らかな頭)を持った人が必要。
 これらは共通して「伸びしろ」が大きい人と言えます。現在持っているスキルよりも、今後成長が期待できる “伸びしろ” の大きい人を重視しているのが、今の日本(特に新卒採用)と言えます。そして、この “伸びしろ” が学校の勉強と大きく関わっています。


 これらを踏まえて、学校の勉強の意味についての持論を述べます。
 小さい頃に学校で勉強する理由について、多くの人がいろいろな考えを述べていますが、私は
「将来、勉強するために必要だから」
だと思っています。
 学生の方は「勉強なんてしたくない」「大人になったら勉強しなくていい」と思っているかもしれませんが、大人になると必ず勉強せざるを得なくなります。さらに歳を重ねるともっと勉強したくなります。いろいろな事に興味が湧いてくるからです。そして、歳を重ねるごとにその思いは大きくなります。それは、若い頃とは違う事(今は想像も出来ない事)かも知れません。
 しかし、若い頃に勉強(特に学校の勉強)していないと、歳を取ってから一から勉強するのはとても困難です。本当に勉強したくなった時に困るのです。そして、つまらない人生になるかも知れません。
 勉強しようと思っても一足飛びに難しいことは理解できません。例えば、小学生レベルの人が大学で教わるようなことを勉強しても無理ですね。勉強とは、段階を追って徐々に身についていくものなのです。途中の段階を踏み外すと次のステップに進むのはとても困難です。それは〈環境〉と〈脳力(能力ではない)〉の2つの問題があるからです。

【環境の問題】
 一度卒業してしまうと、もう一度入学して学び直すことは極めて困難です。例えば、中学の勉強をやり直したいからといって、中学に再入学することはできません。塾に入るのも難しいでしょう。そこで、どうしても独学での勉強になります。しかし、そこには教えてくれる先生はいません。時間も学生の頃のように自由にはありません。教えてくれる人がいない中、限られた時間でどれだけの勉強ができるでしょうか。

【脳力の問題】
 人間は歳を重ねると必ず衰えます。脳の働きも悪くなります。記憶力が衰えて、頭の回転も鈍くなります。勉強しても頭に入らないのです。しかも、脳が成長する時期に勉強していないと、勉強のやり方(記憶する方法や、それらを組み合わせて考えるやり方)が分かりません。逆に、脳が成長する時期に勉強していると、勉強のやり方が体に染みつきます。本当に勉強したくなった時に威力を発揮するのです。学校で勉強するのは「将来勉強できる脳(つまり “伸びしろ” )を作る」という意味が強いのです。
 もちろん学校の勉強だけが勉強脳を作るわけではありません。むしろ、知識を組み合わせて考える力は遊んでいる時の方が強いかも知れません。しかし、体系的に効率的に学ぶのは学校の勉強の方が向いています。若い頃に「よく学び、よく遊ぶ」ことが大切なのです。それが、将来、人生を豊かにしてくれます。

 結局「勉強する/しない」は、将来についての “想像力” と、それを受け入れる “覚悟” です。そして、豊かな人生を望むなら若いうちに勉強して《勉強脳》を作ることです。

 ちなみに、”記憶力がよい人” や “物知りな人” のことを「頭がいい人」や「勉強ができる人」と思っている人が多いと思いますが、それは違います。いくら多くのことを記憶していても、それを使えなければ無能と同じです。本当に頭がいい人とは、①多くの知識があり、②それらを組み合わせて新たなことを生みだす(ひらめく)ことが出来る人だと思っています。

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