私の妻は専業主婦です。それに甘えて、普段私はあまり家事をしません。私も一人暮らしの経験があるので一応ひと通りの家事は出来ますが、妻がやってくれる時は甘えています。近頃は、定年退職して家にいる時間が長いのでやれる家事を分担しています。分担といっても、妻がやる作業の方が圧倒的に多いですが..
私がやっている家事は次の通りです。
・朝晩の布団の上げ下ろし
・乾いた洗濯物の収納(時々、干すのを手伝うことも)
・寝室と書斎の掃除(時々、リビングや洗面台も)
・週に2回のゴミ出し(集積所に運ぶだけ)
・時々料理(自分が得意なもの、食べたいもの)
・買い物(運転、荷物持ち、メニューのアドバイス…食べたい物をリクエストするだけ)
・その他(電球交換、電池交換、包丁研ぎ、草むしりなど)
ご覧の通り、たいしたことはやっていません。家事といっても、自分がやりたい事をやれる範囲でやっているだけです(それでも妻はいつも「ありがとう」と言ってくれるのでやりがいがあります)。
例えば、私は昔から洗濯物をたたむのが好きなので少しも苦になりません。裾や袖がきちんと揃っていて折しわがなくピシッとなっている様子を見ると嬉しくなります。ほぼ趣味みたいなものです。
料理も、自分が食べたい物を勝手に作るだけです。特に、自分が得意とする3品(人参たらこ、ピーマン炒め、スタミナ納豆)は、妻には任せておけません。どれも冷めた方がおいしいので、妻が食事の支度を始める前にササッと作って、使った調理器具などを洗ってから台所を明け渡します。
自分で家事をしたり妻がやっているのを見ていると、「家事には品質管理(※品質マネジメントの意味)の要素が満載」だと感じます。幾つか例を挙げてみます。
◆料理の、【メニュー決定(Plan)、調理(Do)、味見(Check)、味を調える(Act)】は、《PDCA》そのものです。また、「煮込んでいる間にもう一品…」はマルチタスクであり、《ガントチャート》の出番です。
◆洗濯物を取り込む際、「濡れた感じがするからもう少し干しておこう」は《工程移行判定》です。また、乾いた物と乾いていない物を離しておくことは、《製品の識別(良品と不良品を区別すること)》です。
◆洗濯した物をタンスに入れる際、決まった物を決まった位置に入れるのは “整頓” であり、その際に黄ばみやほつれがないかを確認するのは “清掃(点検)” であり、古くなったものを捨てるのは “整理” です。いずれも《5S》の一つです。
◆部屋の掃除でもっとも面倒なのは、掃除機をかけることよりも、掃除機をかける場所を空けるために物を片付けることです(そのため我が家ではお掃除ロボットは活躍していません)。これは《プロセス管理(段取り)》です。料理も「段取りが大事」と言いますね。
◆(これは実話ですが)掃除の際、部屋毎に掃除機のプラグを指し変えていると毎回屈むので腰痛に響きます。そこで、長い延長コードを使うことでプラグを差し変えないで一気にすべての部屋を掃除するようにしました。充電式掃除機にすることも考えましたが、性能に不安があるのと充電ベースにコンセントが占有されるのが嫌なのでやめました。これは《課題解決型QCストーリー(対策の洗い出しと最善策の選択)》です。
家事には、①ルーティーン ②工夫する(少し変える)もの ③劇的に変えるもの があります。例えば、米を研ぐことは毎回あまり考えなくても自然にできますね。これが①です。「肉が少ないからキノコでかさ増ししよう」とか「おろしニンニクを試しに加えてみよう」というのが②です。そして、話題の調理器具や調理家電を買うのが③です。
品質の世界にも①②③があります。
①:いつもの決まったやり方(手順やルール)
②:今までのやり方と少し変えること(改善やプロジェクト計画)
③:大きく変えること(改革やイノベーション)
家事の①②③は、人それぞれ得手不得手があります。手伝っても「やり方が違う!」と文句ばかり言う人、チャレンジばかりして味付けが安定しない人、使わない調理器具の置き場に困っている人 … いますよね。実は、それと同じことが会社(品質の世界)でも起きています。それらを調整して解決するのが品質部門や経営管理部の役目なのですが、難しい仕事なので四苦八苦しています。会社でそのような苦労をされている方は、家事をやりながら自分の得手不得手を確認したり、分担して旦那様や奥様の扱い方(協力の仕方)を練習してみてはいかがでしょうか。
—
今回のテーマの主旨は、「家事に品質の考え方を取り入れよう」ということではありません。
品質の世界はこんなに身近!
ということを知って欲しかったのです。
コメント