人には、それぞれ “好み” があります。”好み” は人それぞれ違います。
“好み” とは「好き嫌い」のことです。物や人だけではありません。プロセス(やり方)の好き嫌いのことを「流儀」と言ったりします。
職場や学校では、プライベートに比べて自分の流儀や好き嫌いを通すことは難しいですね。集団で事に当たるためには、一定のルールに従って行動しなければならないことがあるからです。それが《規則》や《作業手順》です。
仕事において定められたルールを守ることは大切ですが、定められた範囲外のことは自分の流儀を通すことができます。それを「裁量」と言います。
裁量の内容やレベルは、組織や仕事によってまちまちです。当事者の能力によっても裁量で許される範囲と許されない範囲の違いがあるでしょう。
例えば、ファストフード店の接客はいつもだいたい同じです。スタッフによって大きく違うことはありません。これは、接客水準を一定にするために接客マニュアルを用意して、それによって新しいスタッフを教育し、スタッフはその通りに動いているからです。ですので、接客スタッフには応対の文言についての裁量はありません。しかし、親しみやすい言い方や笑顔など自分なりの工夫はできるでしょう。
大切なのは、その仕事において自分にどこまでの裁量があるかを理解することです。そして、裁量を越えない範囲で自分なりの工夫をすることです。
また、他の人の流儀や好みを理解して尊重することも大切です。自分のやり方と違うからといって、責めたり貶したりすることがないように気をつけましょう。
例えば、毎朝始業時間直前に出社して直ぐに仕事を始める人もいれば、早めに出社して一杯のコーヒーを飲んでから作業に取り掛かる人もいます。どちらも問題ないですね。規則で決まっているのは「始業時間に仕事を始める」ことであり、それ以外のことは個人の自由です。「もう少し時間に余裕を持って出社しろ」とか「休憩時間でもないのにコーヒーなど飲むな」とは言えないのです。
プライベートにおいては裁量の有無が問題になることは少ないですが、”好み” に難癖をつけることはよくあります。身近な人ほど自分と違う行動を取る人が我慢できないのでしょう。
例えば、食事において、好きな物を最初に食べる人と最後まで取っておく人がいます。我が家にも両方います。戦前生まれで食べる物に苦労してきた母は “最初に食べる派” です。ぐずぐずしていると兄弟に食べられてしまうから身に付いた癖なのでしょう。一方、兄弟が少なくて食べ物の競争がない子供たちは “最後に食べる派” です。ゆっくりと余韻を味わいたいのだと思います。ちなみに私は、好きな物は最初と最後の2回に分けて食べます。人それぞれです。
もう一つ、我が家で “好み” が大きく分かれるものを紹介します。
時々家族で回転寿し店にいくことがあります。子供たちはサーモンが大好きですが、母は「生臭いから嫌」と言って食べません。一方、母は鱒寿司しが大好きで、スーパーで「駅弁フェア」があるとよく買ってきて食べますが、子供たちはそれほど好んで食べません。どうやら、若い人はレア感のあるサーモンが好きで、年配者は酢でしっかり締めたものが好みのようです。
ということで、通販で2種類(レアタイプ、しっかりタイプ)の鱒寿しを取り寄せて食べ比べをしてみました。
手軽に取り寄せられる鱒寿しと言えば富山が有名です。富山県には鱒寿しメーカーが70件以上あるそうで、お取り寄せが出来るものもかなりあります。その中の代表として次の2品を取り寄せました。レアタイプかしっかりタイプかは、商品情報や口コミで判断しました。
レアタイプ:寿し工房大辻の「幻のます寿し」
通常の約二倍の量の鱒.. 側面から裏にかけて鱒の身がまわる様に.. という言葉にひかれて購入。
しっかりタイプ:ますのすし本舗源の「特選ますのすし」
駅弁フェアでおなじみの物より少しお高い方。洋画家・中川一政デザインのパッケージも素敵。
ちなみに、後日、源さんが運営する「ますのすしミュージアム」に行ってきました。鱒寿しの歴史や製造工程などを知ることができてとても面白かったです。ただ、午後に着いたのですが、工場はすでに清掃中で製造過程は見られませんでした。製造過程を見学したい方は、早い時間帯に行かれることをお勧めします。
ますのすしミュージアムの情報はこちら
食べ比べの結果は予想通り。子供たちは「幻のます寿し」を絶賛。対して母は「ますのすし」一択でした。若者は脂がのったレアタイプが大好きで、年配者はそのレア感を生臭いと感じるようです。その感覚は、口コミにも表れていたと思います。鱒寿しに限らず、口コミが高評価と低評価に極端に分かれているものは、”好み” の違いによって当たり外れが大きいと思った方がよさそうです。
私は、どちらもとても美味しいと思いました。レアタイプは鱒の脂の甘味が感じられて濃厚、しっかりタイプは酢の酸味が魚臭さを消してさっぱりしつつもインパクトのある味でした。食べ比べてみると違いがはっきり分かります。皆さんはどちら派ですか? 一度、食べ比べてみてはいかがでしょうか。
家族間の食の “好み” の違いは他にもあります。味付けが濃いとか薄いとか、脂っぽいとか物足りないとか.. 年代が異なる人間が同居していると食事を用意する人は大変です。しかし、家庭内であればそれほど大きな問題ではありません。献立をローテーションできるので、「今日はこの人好み、明日はあの人好み」でいいのですから。
でも、会社ではそうはいきません。「今日はこの人好み、明日はあの人好み」で仕事をしていたら、「優柔不断で日和見な人」と思われます。そこはやはり『自分好み』を通すべきたと思います。自分の流儀を持つことが大切です。
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