多様性と画一性は表裏一体

前回の記事『多様化と画一化のせめぎ合い』で、「多様化と画一化は、波打つようにせめぎ合っている」と述べましたが、それは両者が相反する《対立関係》であるという意味ではありません。両者は対立関係ではなく《循環関係》であると言えます。多様化は違いを生み、画一化は違いを束ねるものです。つまり、”違いを生んだり束ねたりする循環” なのです。

また、両者は《共存関係》でもあります。どちらか一方だけで存在するものではなく、もう一方が同じ場に同時に存在するからこそ、お互いに存在し続けられるのです。

例えば、帳票について考えてみましょう。
帳票とは、様式やフォーマットが決まった書類のことで、役所などに提出する申請書や、仕事で用いる報告書・管理表などがあります。

世の中には、同じ目的で用いる場合でも、立場の違いによって異なる帳票を用いる場合があります。例えば、
・入学願書:推薦入学と一般受験入学では作成する書類が違います。
・納税書類:事業所得者と給与所得者では作成する書類が違います。
他にも、配偶者や扶養家族の有無、所得の違いなどによっても、用いる書式が異なることが多くあります。

会社でも、業務で用いる管理表が部門によって異なっていることがあり、デジタル化による業務効率化の経営戦略の話をよく耳にします。業務のデジタル化では、帳票類を全部門で共通化することが一般的ですが、「共通帳票」と聞いて単純に「画一化される」と思っていませんか? 

実は、共通帳票を用いる裏には、“使い方を分ける” という多様化が必要になることが多々あります。つまり、用いる物が同じになっても、環境や状況によって使い方を変えなければならないことがあるのです。帳票を使う側にとっては、帳票を共通化したことによって前よりも入力が大変になるかも知れません。

帳票の共通化は “違いを束ねる側”(すなわち会社)の都合です。それによって、 “違いを生む現場” にいる従業員に苦労を強いることになるかも知れないのです。


もう一つ、多様性と画一性の《共存関係》の例を挙げます。我が家の実例です。

我が家では、ソックスの買い方と使い方が人によって違います。
私は、デザインや色が異なるものを数足用意しています。左右一対でタンスにしまっておき、使うときはセットで取り出します。穴が開けば、左右一対丸ごと捨てて買い換えます。
一方、子供はすべて同形・同色のものを揃えています。収納は左右一対ではなくバラバラです。使うときは適当に2つ取り出します。穴が開いたらそれだけ廃棄して、全体数が少なくなれば買い足します。
どちらも、その人なりの合理性があって、良い悪いということはありません。個人の好みです。

おしゃれを優先すれば「デザインが多様で、使い方が画一」になり、機能性を優先すれば「使い方が多様で、デザインが画一」になるという構造です。すなわち、”多様” と “画一” は《共存関係》です。


この、[形態と使い方] の違いによる [多様性と画一性] の関係を示したものが下の図です。

形態と使い方がどちらも多様だと、”何でもアリ” の状態です。カオスです。
  右足と左足で敢えてソックスを変える “おしゃれ?” もあるようですが、私のような凡人には理解できません。
形態と使い方がどちらも画一だと、いつも同じで面白味がありません。ガチガチは窮屈です。
形態と使い方の “どちらか一方が多様で、もう一方は画一” であるのが普通です。多様性と画一性のバランスを取っているのです。
どちらの多様性(または画一性)を優先するかは、仕事の性質や個人の好み () です。
  ※:記事『好みの違い、自分の流儀』参照


多様性と画一性、個別と共通、使い分けと固定.. これらはすべて表裏一体であることを忘れないでください。

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