”記憶力がいい人” と “頭がいい人” は違います。”物知り” と “勉強ができる” は違います。
”記憶” と “理解” は大きく違います。記憶は「知識=蓄積すること」であり、理解とは「知識を活用できること」です。例えば、数学の公式を覚えただけでは理解したと言えません。どういう時にその公式を使うのかを知り、実際に使うことができて初めて「理解した」と言えるのです。
ここで、《学び》について考えてみましょう。
学びには、組織が受講者を集めて行うもの(教育・訓練)と、自分自身で行うもの(自己啓発)があります。そして、学ぶときには「なぜ学ぶのか(必要性)」「学びの場(実施)」「効果があったか(確認)」をよく考えることが大切です。
なぜ学ぶのか(必要性)
つまり、学ぶ目的や動機です。明確な目的があればやり続けるモチベーションになります。逆にそれが曖昧だと、途中で挫折する可能性が高いと言えます。会社のため/自分のため、仕事のため/私事のため、現在のため/未来のため… 自分自身が納得できる明確な目的を持ちましょう。
学びの場(実施)
授業や研修だけが学びの場ではありません。本、テレビ、Web、セミナー、勉強会、留学、会話… 至る所に学びの機会はあります。場所、時間、費用など、目的に応じて自分に合ったものを選びましょう。
効果があったか(確認)
学んだ後は、学びの効果があったか確認しましょう。学びの効果とは、自分自身が変わったかどうかです。”変わる” とは、「今まで出来なかったことが出来るようになる」ということです。完璧に出来なくても、出来るようになるための入口に立てたのであれば効果があったと言えるでしょう。その後の努力次第で、さらに高い効果が期待できます。
このとき重要なことは、効果が〈記憶〉ではなく〈理解〉であることです。表面的な知識を得ただけでは行動は変わりません。それでは役に立った(効果があった)とは言えません。得た知識が自分とどう関わっているのか・どう活かせるのかを考え、実践することが重要なのです。ですので、学んだことは直ぐに実践してみましょう。最初はうまくできなくてもよいのです。失敗は新たな気づき(学び)になります。
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ここで、「効率よく記憶するための方法」と「理解を深めるための方法」を紹介します。私が日頃心掛けていることです。
効率良く記憶するための方法
手を動かしながら覚えると良いそうです。私が小さい頃は、紙に何度も何度も書いて覚えていました。
最近は手書きで文字を書くことが少なくなりパソコンを使うことが多いですが、キーボードを打つことも記憶に役立っているような気がします。同じ内容を、カット&ペーストではなく、わざわざ再入力することもよくあります。
また、考えを整理する時によく、手書きで文言を羅列したり図(ラフスケッチ)を書いたりします。このとき、重要な部分に下線を書いたり四角や丸で囲ったり、時には矢印でつなげたりしますが、これは後で見たときに分かりやすくするという目的もありますが、イメージとして記憶するという効果もあります。
理解を深めるための方法
研修を受けた後は出来るだけ報告書を提出するようにしています。また、参考になると思った本は抄訳を書くこともあります。これは、学んだことを自分の言葉にして人に伝えると、理解を深めるとともに記憶の定着に役立つからです。昔「聞いたことは翌日には7割忘れる。やったことは7割覚えている。教えると9割覚えている」と聞いたことがあり、それ以来実践しており、効果があると感じています。
提出先は報告の内容によりますが、あまりこだわる必要はありません。「誰かに読んでもらう。分かってもらう」という意識で書くことが大切です。
研修などの報告書を書くときは、次の2つを心掛けています。
①講義テキストや資料などを丸写しせず、自分の言葉で書く。
②自分の考えや感じたことを入れる。
報告書の実例
参考に、過去に作成した報告を載せておきます。どんな風に書いているのか、興味がある方は参考にしてください。なお、演者の所属および役職は発表時点のものです。
受講報告書事例 『ソフトウェア品質シンポジウム2021』参加報告
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