今回は、過去記事『修正、再発防止、点検、予防、未然防止』について掘り下げます。
ISO9001の 是正処置 についてです。
“是正処置” とは、不適合が再び起きることがないように、その原因を除去することです。
“不適合” とは、求められていることを満たしていないことです。”求められていること” には、お客様の要望や期待、社内ルール、ISO9001の内容などがあります。つまり是正処置とは、契約不履行・ルール違反・規格非準拠を二度と起こさないために、不履行・違反・非準拠などの原因を特定して排除する取り込みです。そして、是正処置はISO9001の中でも特に重要な取り組みの一つです。
是正処置についてISO9001で求められていることを記します。JISQ9001の原文はとても分かりにくいので、個人的な解釈(超約)を載せます。
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10.2 不適合及び是正処置 … 以下、不適合を「不良品(および不正)」と記します。
10.2.1
社内外を問わず不良品(および不正)を発見した時は、以下のように対応しなさい。
a)必ず次の対応を行う。
①不良品(および不正)を、管理(識別・隔離)して修正する。
②不良品(および不正)によって起きた結果に対処する。
b)再発防止策をとる必要があるか判断するために、以下を行う。
①不良品(および不正)を詳しく分析する。
②原因を明らかにする。
③類似の不良品(および不正)が発生していないか、又はその可能性がないか確認する。
c)必要な処置を行う(原因を除去する)。
d)実施した処置が有効だったか(再発していないか)を確認する。
e)必要な場合、これまで想定していたリスク(プラス・マイナス両方)を見直す。
f)必要な場合、品質マネジメントシステムを変更する。
再発防止策は、不良品(および不正)がもたらす影響の大きさに応じたものにしなさい。
10.2.2
是正処置に関する以下の記録を残しなさい。
a)不良品(および不正)の内容と、それに対して行った処置
b)是正処置の結果、すなわち再発していないことの証拠
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10.2.1 を、プログラミングミスによってデータ不正が起きた場合に当てはめると次の通りです。
参考に、過去記事「修正、再発防止、点検、予防、未然防止」で挙げたワードとの対応を示します。
a)① : バグの修正 … 修正
② : 不正データの修正 … 復旧
b)① : 状況の確認と分析
② : ミスした原因の特定 … 原因調査
③ : 類似のバグの確認 … 予防
c) : ミスした原因の排除 … 再発防止
※d):是正処置の効果の確認 … これについては後日詳しく解説します。
e), f):QMSの見直し … 是正処置は、QMSを改善するための重要な情報源です。
是正処置では、個々の不適合(不良や不正)を識別して、原因を特定して、原因を除去して、その結果を確認する必要があります。それらを確実に実行するためには、各プロセスの役割者や流れを決めて行うのが効果的です。
その実例として、過去に私が関わったQMSの仕組みをご紹介します。
是正処置管理の流れを示したものが下の図です。※前回の記事でも用いた図です

そして、この運用を確実に回すために用いた記録票が次の図(概略イメージ)です。

これにより、品質部門が各役割り者とキャッチボールしつつ、助言と監視を行います。
そして、この記録票が是正処置の記録になります。
是正処置の運用でお悩みの方は参考にしてみてください。
”記録” については、記事『文書化した情報(各論)』をご覧ください。
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