スケジュールを守れない人

以前、『スケジュール管理ができない人』という記事を載せました。これに対して何人かの知り合いから痛烈な批判をいただきました。
「分かっていてもできないから悩んでいる」
「あなたは、できない人の気持ちが分かっていない」

振り返ると、前回の記事は《スケジュール管理ができない人に困ってい人》の視点で書いていました。例えば上司の視点です。本ブログを始めた主旨「エンジニアを目指している若い人に発信する」を忘れていました。
そこで今回は部下を管理する上司ではなく、実際に《スケジュールを守れなくて困っている人》の立場で書きたいと思います。仕事だけでなく、日常生活も想定していますので参考にしてください。

まず、過去の記事『スケジュール管理が出来ない人』のおさらいです。
(以下、要旨)
スケジュール通りに作業が進まない理由
・そもそも無理なスケジュール … スケジュールの問題
・想定通りに作業を進められない … 作業遂行能力の問題
スケジュール管理ができない人は、これらの問題を察知できない。
→ これを解決するヒントを幾つか提示しました。

ここで、「これらの問題を察知できない」とは、”遅れていることに気がつかない” 、あるいは “遅れそうなのに気がつかない” ということです。前回は、それら「問題を見逃した原因」について考えました。
今回は、「問題を起こした原因」について考えます。
   (記事『事故対応・トラブル対応のセオリー』【セオリー2】参照)
つまり、「なぜ無理なスケジュールにしてしまうのか
    「なぜ想定していた通りに作業が進まないのか」です。

前回の記事に対して痛烈な批判を寄せた人たち(スケジュールを守れなくて困っている人たち)に話を聞いてみました。主なものは次の3つです。
◆ キャパオーバーでも断れない、やめられない
 ・依頼を断ったら、もう依頼が来なくなるかも知れないから断れない。
 ・前の作業に納得がいかない。完璧になるまでやめられない。次の作業に入れない。
出来ると思ったが、出来なかった。
 ・キツそうだったが、頑張れば出来ると思った。
◆ 思ったよりも時間がかかった。こんなはずじゃなかった..
 ・想像以上に複雑だった。面倒だった。難しかった。

これらについて理由を考えてみます。断れない・やめられない理由想像と実際が違う理由 です。

■■ 断れない、やめられない理由
これには、大きく2つの原因が考えられます。

①優先順位の問題
自分にとって本当に重要なことが分かっていないのではないかと思います。あるいは、分かっているのに目の前の一時の快楽や満足感に負けて目を塞いでいるのかも知れません。
抱えている作業が遅れれば信用を著しく損ねます。抱えている作業が遅れるのと、これから入ってくる作業を断るのとでは、どちらの方が影響が大きいかよく考えましょう。
約束に遅れると信頼を失いかねません。例えば、メイクに時間がかかってデートの時間に遅れる人は、自分を美しく見せることと恋人との約束のどちらが大切なのかよく考えましょう。
分かっているのに現実から目を逸らしていることが最も厄介です。依存症かも知れません。これで悩んでいる人は、すみませんが本ブログの範囲を越えています。

②性格的な問題
過度な責任感や、承認欲求(認められたい、嫌われたくない)、自己肯定感の低さによって、自らを制御できなくなることがあります。これも、本ブログの範囲を越えています。カウンセリングなど医学的なアドバイスを受けることをお勧めします。

■■ 想定と実際が違う理由(出来ると思ったが.. こんなはずじゃなかった) ■■ 
これには、「学習能力が欠如している」「能力が低下・劣化している」という2つの原因が考えられます。

(1) 学習能力が欠如している
同じ失敗を繰り返す人、経験から学ばない人です。これには2つの原因が考えられます。

 ①能力・スキルの問題
 反省しない人、過去を振り返らない人、今がよければいい、と考える人です。
 このような人は、痛い目に合わないと事の重大さに気がつきません。
 前回述べた通り、失敗(予定を守れなかったこと)を記憶に刷り込ませることが必要です。

 ②脳力の問題
 世の中には、頑張っても出来ない人がいます。努力の問題ではなく脳の違いによるものです。
  『ソフトウェア品質シンポジウム2021 参加報告』参照
 メタ認知機能を司る脳の部位が弱い人は、過去を客観的に見る力が弱い傾向があります。
 そのような人は、経験を映像や言葉(文字や音声)に変換して整理すると良いそうです。

(2) 能力が低下・劣化している
人間の体や脳は、鍛錬をやめると徐々に衰えていきます。また、年齢によっても衰えます。アスリートが日々練習を続けるのは、成長するためというよりも現状を維持するためという目的が大きいのです。
このことは、アスリートだけでなく全てのことに言えます。昔は出来ていたことが出来なくなったら、衰えてきた証拠です。現在の状態を少しでも維持するために、常に鍛錬・研鑽を怠らないことが大切です。

以上をまとめると、下の図になります。

このように、スケジュールを守れない人は、意思や意欲の問題と、性格や資質の問題が大きいと思います。完璧にスケジュールを守れるようになるためには、強い意思と、強烈な経験の記憶が必要でしょう。これはとても大変なことです。
そうであれば、”まったく遅れない” ことを目指すよりも、遅れることを前提として、遅れを素早く察知して “早く対策する” ことを目指した方が良いと思います。実は、それがスケジュール管理の肝(もっとも重要な部分)です。遅れが生じて事が大きくなってから慌てるのではなく、遅れが小さいうちに手を打つことが大切なのです。
「スケジュールを守れない人」は「(自分自身の)スケジュール管理ができない人」と言えます。

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