チェックリストで大切なこと

チェックリストは『確認するコト(またはモノ)の一覧』のことです。一般的に、確認する内容(項目欄)と確認した結果(チェック欄)で構成されています。チェック欄にチェックを入れることで、その項目がチェック済であることを示します。これにより、チェック漏れを防ぐことができます。そのため、チェック漏れを犯してはいけない場面で頻繁に用いられます。また、無駄なチェック(重複チェック)を防ぐことにも役立ちます。

チェックしたことを示す記号として一般的にレ点( “✓”) が使われますが、これは入力を出来るだけ簡単にするためのものであり、あの形に意味はありません。チェックしたことが分かればいいので本来は何でも構いません。ただし、人や項目によって書き方が違っていると後で見た人が混乱するので書き方は統一した方がよいでしょう。個人的には、”✓” は人によって大きさや強弱の差が大きく、集計する際に見誤る可能が大きいので、”○” で統一することをお勧めします。
また、チェックしたことを示す記号の変わりに、チェックした日付や誰がチェックしたことを示すための署名を記入することもあります。

さらに、工夫を重ねて応用を広げることで様々なチェックリストを作ることが出来ます。例えば、[確認する内容] を「確認の観点、操作方法、あるべき結果」に細分化したり、[確認した結果] に「実行結果、確認日、確認者」などの詳細情報を記入することもあります。
下記のサンプル(3)は、私がテスト仕様書でよく使っていたフォームです。テスト仕様書も『確認するコトの一覧』の一種です。


チェックリストは、チェック漏れや重複チェックを防止するのでとても有益ですが、デメリットもあります。
チェックリストを用いる場合と用いない場合の、メリットとデメリットをまとめたものが下の表です。

これを見て分かるように、チェックリストを用いる/用いないは、安全性と効率性のせめぎ合いです。
 チェックリストを用いる  : 安全性重視(安全性>効率性)
 チェックリストを用いない : 効率性重視(安全性<効率性)

チェックリストを用いる場合は、チェックリストで安全性を確保しつつ、それを効率的に行うことを考えましょう。用いない場合は、効率性を維持しつつ、如何にして安全性を高めるかを考えましょう。

初心者や若手の方は、漏れや抜けを防ぐためにチェックリストを用いる方が良いでしょう。一方、ベテランはいちいちチェックなどせずにサッと先へ進むことができます。むしろ、チェックリストを用いることが鬱陶しくて反発することもあるでしょう。つまり、作業の熟練度によって、チェックリストを “用いる/用いない” が変わるのです。チェックリストを用いる未熟者用のルールと、用いない熟練者用のルール、というダブルスタンダードが必要になることもあります。
実は、これは「作業の標準化(手順書)」において永遠の課題です。… チェックリストも作業手順の一つ

チェックリストは《教育・育成》の場面でも有益です。
(1) 作業の全体像の把握
 チェックリスト全体を眺めることで、組織内にどんな物があり、どんな作業があり、どんなことが重要かが分かります。
(2) 知見の有効活用
 個人が得た知見(どんな危険があるか)を他の作業者と共有することができます。組織の財産です。

《教育・育成》の視点でも、チェックリストの在り方を考えてみてください。


チェックリストは業務・業種・対象・使い方などによって様々なものがありますが、大きく2つ(細かくは3つ)に分類することができます。それは、項目の洗い出し方の違いです。

あらゆる行動や現象は、すべて《インプット → 変換 → アウトプット》で表すことができます。
例えば、《インプット(レシピ、材料)→ 変換(調理)→ アウトプット(料理)》もそうです。
これを一般表現にすると
 インプット(条件=やり方)→ 変換(作業)→ アウトプット(結果=状態)
であるといえます。

この時、〈 変換(作業)〉が正しいことを確認するためのチェックリストを考えてみましょう。確認に漏れや抜けがないように、何に基づいて項目を設定しますか? 考え方は2つあります。
 1.インプット(条件=やり方)を元に項目を挙げる … 手順書タイプのチェックリスト
 2.アウトプット(結果=状態)を元に項目を挙げる … 記録タイプのチェックリスト
さらに、手順書タイプには [順序が重要なもの] と [順序に関わらないもの] があります。

これらの3種のチェックリストの典型的な例を示します。これを見て「これもチェックリストなの?」と思うものもあると思いますが、みな『確認するコトの一覧』です。


次に、チェックリストを用いる際に注意すべきことを、私の経験を元にまとめました。

チェックリストの使い方(確認、記入など)としては当たり前のことばかりです。
しかし、チェックリストを使い続ける上でとても重要なことが2つあります。普段あまり気にすることがないと思いますが、後々困ったことになりかねないので理解しておいてください。(実際、私はかなり苦労してきました)
使い方ではありません。チェックリストの構造や運用に関することです。

1.現場の変化に対応しやすい構造にしておく。変更ルールを定める
(特に手順書タイプの場合に重要)
事業環境の変化によって作業の手順が変わることはよくあります。チェックリストで確認していた手順が変われば、チェックリストも直さなければなりません。この時、チェックリストをガチガチに作っていると修正が大変です。変更に柔軟に対応できる構造にすることを心がけましょう。
例えば、項目番号(No.など) です。これは、確認項目を一意に識別するための重要な項目です。通常、チェックリストを作成した直後に連番で採番していると思います。しかし、業務手順が変わってチェックリストの途中に新たな手順が加わった時どうしますか? 行を挿入して新たな確認項目を書き加えると思いますが、項目番号はどうしますか? 番号を付け直すのは手間がかかります。また、過去の結果との整合が保てなくなり分析が厄介です。枝番を付けることもありますが、そうすると知らない人が見た時に「意味的に何か意図がある?」と誤解されかねません。確認項目をカテゴリ分けして採番規則で切り分けるという方法もありますが弊害もあります。今のところ私にも最適解はありません。そのような問題があることを認識した上で、【チェックリストの変更ルール】を決めておきましょう。

2.チェックリストの肥大化に気をつける。スリム化の手順を定める
(特に記録タイプの場合に重要)
チェックリストを用いて確認していても、想定外の要因により事故やトラブルが起きることがあります。それらの再発防止策を考えた時、チェック項目を追加するのが常套手段です。つまり、問題が起きる度にチェック項目が増えていきます。つまり、チェックリストの肥大化です。チェックリストの肥大化は再発防止活動の宿命と言えます。しかし、肥大化が限界を迎えると業務破綻を起こします。そうならないために、手を打つ必要があります。それには2つの方法が考えられます。
(1) チェックリストを見直して、リスクが小さい問題のチェック項目を削除する
(2) チェックリストに頼らずに問題を察知するやり方、又は問題を起こさないやり方に変える
いずれも、その場の一時しのぎで出来ることではありません。あらかじめ十分に検討して、【チェックリストの見直しルール】【業務の見直しルール】を定め、定期的に実施しましょう。


以上、チェックリストを用いる上で(特に作成やメンテナンスにおいて)大切なことでした。
とかくチェックリストは目先のことに目が向きがちですが、その後の長い運用も考えたうえで準備しましょう。

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