集団の代表値は『平均』だけじゃない

前回に引き続き「平均値」と「中央値」についてお話します。

発端は、前々回の記事『論破テクニックに誤魔化されるな』の次の話題でした。
【実例】ある質問・相談サイトでのやり取り
質問:「20代の若者が海外旅行に行かなくなった原因はお金が無いからだと聞きましたが、統計データを見ると平均所得は減っていません。他に原因があるのではないでしょうか?」
回答:「世の中には大勢の庶民とごく少数の大金持ちがいて、大金持ちが平均を押し上げている。平均値ではなく中央値を見なさい」

つまり、「20代の若者の年収の推移を「平均値」と「中央値」のどちらで見るべきか?」ということです。言い換えれば、「たくさんの数値があるとき、それらの代表値はどれ?」ということです。多くの人は直感的に《平均値》を思い浮かべると思いますが、先ほどの実例のように ”とても大きい数値” があるとそれに引きずられて実態と乖離することがあります。そこで、「たくさんの数値の代表として、《平均値》よりも実態を表している《中央値》の方を見なさい」と言っているのです。
たくさんの数値の代表には、他にも《最頻値》というものもあります。私が中学生の頃は、平均・中央値(メジアン)・最頻値(モード)をセットで習ったように思います。今はどうなのでしょう?
今回は、この3つについて解説します。

まず、《平均値》《中央値》《最頻値》を一言で言うと次の通りです。
● 平均値 : 均等にならした値 … 平均点、平均身長 など
● 中央値 : 順位で真ん中の値 … 年収、貯蓄額 など
● 最頻値 : 最もよく現れる値 … 売れ筋サイズ など

拙著『エンジニアを目指す人のための「品質コラム」』において、次のような例を示しました。

これについて詳しく見ていきます。
まず、元のデータは次です。全10問の問題を51人が解いた結果です。個人(イニシャル)と正解数が1対1で存在します。

これを棒グラフにしたものが下の図です。

正解数が高い人もいれば低い人もいます。バラバラでなので、このままでは何も分かりませんね。そこで手を加えます。

(1) 平均値
正解数の高い人の値を削って、低い人に埋めていきます。ある値で均等に配分されて全てが真っ平になります。この値が《平均値》です。

(2) 中央値
先ほどのグラフを、正解数順に並び替えます(下のグラフは正解数が少ない人順に並べ直したもの)。この時、真ん中の人(例では26位の人)の正解数が《中央値》です。

(3) 最頻値
正解数毎に該当者の人数を数えます。この時、もっとも人数が多い正解数が《最頻値》です。
下のグラフは、正解数毎に何人いたかを示すヒストグラムです。

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これらの値をまとめたものが、冒頭に載せた図です。
 平均値: 6.49問, 中央値:7問, 最頻値:8問
51個の数値の代表は、これだけの異なる値が考えられます。これらの違いを理解して、適切に使い分け(または併用)しましょう。

※ ちなみに、正規分布のような左右対称の分布では、[ 平均値 = 中央値 = 最頻値 ]です。

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